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人工知能の実用例!成功している国内企業の活用現場

オフィス用品のアスクル運営サイトで、人工知能が顧客対応に実用化され、大きな成果を上げている。アスクルの人工知能に関する公開情報から、運用のメリットや、業務のカバー範囲についてまとめて紹介する。

アスクル運営サイト「LOHACO」の人工知能

アスクルが人工知能を導入しているのは、日用品の通販サイト「LOHACO」。10時までに総額1900円以上の買い物をすると、当日夜の配送が無料にできるサービスです。このサイトのお問い合わせページに、人工知能を利用したチャットボット・マナミさんがいます。

(参考)LOHACO
http://lohaco.jp/

お問い合わせページ
http://lohaco.jp/support/index.html

LOHACOのお問い合わせページで質問を入力すると、マナミさんが質問に含まれるキーワードを拾って「◯◯のことですね。それは〜」のようにそのまま回答してくれたり「◯◯についてどのようなことが知りたいですか?A.〜B.〜」といった形式で選択肢を提示してくれたりします。もちろん自動応答なので、即座に答えを返してくれます。
※回答がわからない時は、謝罪とともに人が対応するお問い合わせへの誘導が表示されます。

Web上のフォームから寄せられるお問い合わせには、回答に際し、商品やサービスについての豊富な知識を必要とするものばかりではありませんよね。ごく単純な仕様や機能についての質問も多くあります。LOHACOの人工知能、マナミさんは、この領域を大きくカバーしています。
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人口知能導入の3つのメリット

アスクルのニュースリリースで紹介された、人口知能を搭載するメリットは、大きくわけて以下の3つです。

1.365日24時間、いつでも回答できる
2.顧客対応の省エネ(問合せの3割を人工知能で対応/6.5人分の働き
3.顧客満足度の向上

企業がWebサイトを持ちはじめた時「自社サイトを持つことは、24時間いつでも稼働する営業マンを雇うようなものだ」と言われました。実際のところ、ユーザーはサイト上で自ら欲しい情報を探さなければならないので「人の代わりとしてのWebサイト」というのはやや大げさな表現でしたよね。

人口知能もまだ、完全に人と同じ働きをすることはできません。しかし、理想はじわじわと現実に近づいてきているようです。以下に、上記3つのメリットについて、より詳しく取り上げていきます。

(参考)アスクル株式会社「人工知能型チャットボット”マナミさん”LOHACO 全お問い合わせの 3 分の 1 をカバーし、省人化とお客様満足度向上を実現~5 月 18 日からはスマホ対応も開始するとともに、さらにマナミさんの親しみやすさ向上へ~ 」
http://pdf.irpocket.com/C0032/VuON/Fw7l/oSd1.pdf

1.365日24時間いつでも回答できる

「365日24時間いつでも回答できる」これがより大きく影響するのは、早朝や夜など、一般的な企業やお店の営業時間外の対応が重要なサービスです。

LOHACOは、「朝10時までに頼んでおけば当日夜の配送を無料にできる」というサービスからも分かる通り、日中働いている人(主に女性)をメインターゲットとするサービスです。女性に限らず、ごく一般的なビジネスパーソンは、平日の日中に個人的な用事を済ませることが難しいですよね。個人向けのサービスは朝や夜など「一般的な対応時間外の対応」に大きな需要があります。

しかしながら、電話やチャットなどの窓口を24時間開けておくのは難しいですよね。コストがかかるというだけでなく、体制を整えることや、継続的な運用そのものの難しさもあります。人工知能を導入すれば、昼間と同じく対応することができ、夜間なども特別な体制は必要となりません。「365日24時間いつでも回答できる」ことは、ユーザーはもちろんサービス運営側のコストを考える上でも、大きなメリットです。

2.顧客対応の省エネ(問合せの3割を人工知能で対応/6.5人分の働き

人工知能が回答できるのは、回答が用意された質問だけです。しかし、大量に寄せられるごくシンプルな質問を、人工知能で高速にさばくことができたら、すべての対応に必要な時間は大きく単出できます。すなわち、大きく対応スピードがあがります。場合によっては、これが直接人件費の削減につながる可能性もあるでしょう。

「マナミさんの運用は、6.5人分の働きである」との公開には非常に大きなインパクトがあります。

3.顧客満足度の向上

アスクルでは、マナミさんの「6.5人分の働き」を、人件費の削減でなく、人員をより複雑な業務に振り分けることで顧客満足度の向上につなげることができたとしています。

365日24時間稼働でのお問い合わせ対応により、対応時間が短くなれば、それだけでも大幅な顧客満足度の向上が見込めます。加えて、人工知能の対応範囲外となる複雑なお問い合わせやトラブル対応を人の手をかけて丁寧に行えば、平均的な満足度のさらなる向上はもちろん、よりサービスに愛着を持って使ってくれるファンの創出につながっていくでしょう。人工知能の運用により蓄積したデータを踏まえ、商品やサービスの改善を行うなど、余裕の出た人員を関連業務に振り分けることもできます。

短期的に顧客満足度を上げるのではなく「顧客満足度を上げるより良いサイクル」が構築できるというわけですね。

対応の重要な改善点

人工知能の導入には、上記のように多くのメリットがあります。しかしながら、効果を具体的に予測できない、費用を想定できないなど、導入はまだまだ難しいケースも多いと思います。

そういう場合にも、上記で取り上げたような人工知能の導入のメリットをふまえ、自社の顧客対応における重要な問題や、その解決方法をあらためて見直してみると新しい発見があるはずです。

たとえば、自社の商品やサービスにとって、一般的な営業時間外に窓口を開けることは必要でしょうか。また、単純明快な回答で解決できる問合せや、専門のオペレーターによる対応が必要な問合せはそれぞれどのくらいあるでしょうか。このような点が明確になれば、人工知能の導入の有無に関わらず、今まで気づくことができなかった、大きな価値のある改善が可能となるかもしれません。

(おまけ)人工知能に適したお問い合わせページのデザイン

余談ですが、LOHACOのお問い合わせページを見ていて、無用なトラブルを避け、気軽にお問い合わせしてもらうために「人工知能であること」をさりげなく伝えるデザインも、人工知能を活用する上で、重要なポイントであることが感じられました。

人間が対応する従来のチャットサポートの場合、担当者の状況(オンライン・オフライン等)を表示した上で、やり取りをするための別ウィンドウが表示されるのが一般的です。このUIからは、チャットが、サイト上のその他の情報とは異なるライブ情報であることが伝わります。

一方LOHACOでは、人口知能のマナミさんとやり取りをするための別ウィンドウは表示されず、文字入力をするためのフォームや、チャットログはお問い合わせページ内にそのまま表示されます。

このUIからは、マナミさんとのやり取りが(サイト上のその他情報と同じく)あらかじめ用意されたものであること、すなわちマナミさんが人工知能であることが自然に伝わります。気軽にお問い合わせできる雰囲気を持ちながら、誤解を避ける非常にスマートなデザインだと言えるのではないでしょうか。

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