技術の発展に伴い、Webサイトの機能は多様化し続けています。
ビジネス目的でも、会社概要パンフレットのような役目を果たす固定的なコーポレートサイトだけなく、決済や予約、情報検索など、さまざまな機能・役割を持つWebサイトが利用されています。

CMS化は、こうした高機能サイトの複雑な運用を効率化する方法のひとつです。
CMSというと「ブログ感覚で、誰でも簡単に更新できる」というイメージが強いですが、実際には更新以外のさまざまな作業を単純化・効率化するために、CMSが活用されています。

加えて最近では、Webサイトでの活発な情報発信による集客、各種Web広告の出稿、SNSアカウントの運用など、多種多様なWebマーケティングを実施する企業が増えてきました。CMSにも、アクセス解析などのマーケティング機能を持つものが増えてきています。こうした状況の中、これからCMSの導入を検討するなら、機能やコストに加え、さまざまなWebマーケティングへの対応状況も、吟味したいポイントのひとつと言えるでしょう。

今回は、WebマーケティングツールとしてCMSを活用するメリットと、そのためのCMSを選ぶポイントについて解説します。
 

Google Analyticsなど、各種マーケティング施策の効果測定ができる高機能かつ無料のツールがあるのだから、Webマーケティングに必要なシステムに不足はない、と考えられている場合もあるでしょう。マーケティングの成果が上がっているなら、もちろんそれで問題ありません。

しかし、実施したWebマーケティング施策の効果が出ていない、あるいは効率的に運用できていない、という場合には、CMSへの組み込みは一考の価値があります。

CMSを利用する主なメリットには「専門的知識のないスタッフでも、簡単にWebサイトを管理・運用できる」ことがあげられますが、WebマーケティングのプロセスをCMSに組み込むなら、このメリットはマーケティングプロセスにも適用可能となるでしょう。

アクセス解析やメール配信、顧客フォローなど、CMSに機能として組み込んだプロセスが効率的に運用できるようになれば、単なる作業負担の軽減以上の成果が期待できます。売上げアップや顧客満足度の向上など、Webマーケティングの成功のために、大きく貢献してくれるはずです。

高機能かつ無料のツールを導入していたとしても、十分に活用できていない、学習コストが高い、運用に手間がかかるなどの問題が発生している場合、その効果には疑問符が付きます。

インバウンドマーケティングやSNS運用など、最新のマーケティングを取り入れるなら、CMSに含める含めないに関わらず、アクセス解析などの効果確認・改善プロセスの確立と、多くの作業をこなすための効率化は、避けては通れない課題のひとつです。

こうしたマーケティングを実施している（あるいは実施する予定がある）サイトをこれからCMS化するなら、Webマーケティング機能の取り込みをぜひご検討ください。

多くの場合、CMS選びは、現在の運営フローや機能の実現を前提条件として、初期費用・ランニングコスト・スケジュールなどから複数の候補を比較・検討する、という流れになるでしょう。

Webマーケティングに関する機能を含めてCMSを選ぶなら、この「前提条件」を定義する際に、アクセス解析データの確認や顧客フォローなど、サイト運営と関わるすべてのプロセスをリストアップしてみることをおすすめします。

『CMSは、HTMLファイルや画像など、Webサイトを構築するさまざまなデータを管理するソフトウェア』という認識があるためか、前提条件の定義にこうしたプロセスが組み込まれることはあまりないのではないでしょうか。

しかし現在では（サービスやツールによって違いはありますが）単なる更新・管理以外の作業を含めたCMS選定が十分可能です。

現在実施しているすべての作業やその問題点、これから取り組みたいことなどを、まずは整理してみてください。

 

以下に、Webマーケティング施策や、関連して運営者が行う作業を簡単にまとめてみました。CMSへのマーケティング機能の組み込みや、自サイトの運営方針を検討するための参考にしてみてください。
 

Webマーケティング担当者が行う作業の例

（1）コンテンツマーケティング
役立つ情報発信という貢献により、一方的な広告に不信感を抱くユーザーを惹きつける集客手法。

（2）SEO
検索ユーザーが利用するキーワードを適切に使用するなど、検索エンジンからの流入を増やすことを目的とした集客手法。

（3）アクセス解析
サイトへのアクセス数・コンバージョンの状況などから、各種マーケティングの効果を測定する。

（4）EFO
アクセス解析のデータを利用し、問い合わせや商品購入などに使われるエントリーフォームの仕様を改善する。

（5）メールマーケティング
訪問ユーザーとの関係を切らず継続的にコミュニケーションし、購入意識を育てる。
メルマガ、サンキューメール、ステップメール、イベント（セールやキャンペーン）の告知など、送信メールの内容はさまざま。

（6）Web広告出稿
検索連動広告・ディスプレイ広告など、Webを回遊するユーザーの興味関心に合わせて広告を表示する広告出稿サービス。アクセス解析を利用すれば、効果的な広告やタイミングなど、さまざまな調査が可能。

（7）LPO
検索流入やWeb広告のリンク先ページ（ランディングページ）を、アクセス数や訪問ユーザーの行動、コンバージョンの状況などを参考に改善し、成果アップを目指す。

（8）A/Bテスト
複数の広告やランディングページを用意し、訪問ユーザーをランダムに振り分けてそれぞれの成果を確認する。

（9）SNS運用
コンテンツの拡散・ユーザー候補の人たちとの交流など、Webマーケティングをさらに効果的にするために利用する。

（10）顧客フォロー
フォームからの問い合わせ対応など、各種Webマーケティングの実施に付帯する業務。顧客情報管理なども含む。

コンテンツマーケティングやSEOなど、成功につながるノウハウがまだ明確とは言えない（あるいは常に変動する）Webマーケティングを手がけている方の中には、効果が上がらない、管理に手間がかかる……という悩みを持っている方も多いでしょう。

アクセス数やコンバージョンなど、成果が数値として確認しやすいWebマーケティングは、結果を見ながら改善を繰り返し、独自のノウハウを蓄積することができます。しかし「そのサイクルを回すためのノウハウ」そのものがなければ、効果確認、改善ともにスムーズに進めることが難しいのが現状です。高機能ツールがあっても、わかりにくく使いこなせていない、運用に手間がかかるため更新ペースを上げることができないなど、成果が出にくい悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。

そうした局面を打開するために、CMSの比較・検討項目には、上記のようなマーケティング機能をぜひ加えてみてください。管理運営、Webマーケティングの各プロセスを効率化できることに加え、すべての作業がひとつのツールで運用できることそのものが、効率化になります。（学習コストの軽減やデータの共有など）

Webサイトの運営、Webマーケティング手法は複雑になる一方です。どこのサイトにも平等にあるはずのデータを、効率よく活用できるかどうかが、成果を伸ばす鍵を握っています。CMSは、そのための重要なツールです。

イニシャルコストを下げること、機能をシンプルに絞って使いやすくすることなども確かに大切ですが、長い目でみれば、こうして幅広い業務に対応させることが手間の削減＝コストダウンにつながってきます。

CMSへの先進的なマーケティング機能の導入、ぜひご検討ください。