2016年8月、Instagramに「投稿が24時間後、自動的に削除される」という機能が搭載されました。

一定時間が経過した後に投稿が消える機能というと、思い浮かぶのはSnapchatです。今回Instagramにこの機能が追加されたことにより「投稿が残らない」という仕様が確かに支持されていることや、Instagram・Snapchatのターゲット層が重なり合っていることがより明確になったと言えるでしょう。

InstagramもSnapchatも、若年層を中心に人気を集めるソーシャルメディアです。今回は、Instagramの新機能を紹介するとともに、両者の人気の秘密に迫ってみたいと思います。

ちなみにですが、2016年現在、Instagramは5億人、Snapchatは1億人以上のユーザーがいるとそれぞれ発表しています。日本でのユーザー数は未確認ですが、これはやはりものすごい規模ですよね。さらに、Snapchatではアメリカの若年層（18〜34歳）の41%がユーザーであるというデータも合わせて発表しています。

若年層に支持されるソーシャルメディアというと、ビジネスのイメージはあまりありません。マーケティング面での活用からも遠い存在に感じられますが、支持される理由には、その他のソーシャルメディア活用や、これからの顧客との接点の作り方のヒントも隠れています。ぜひチェックしてみてくださいね。

（参照）

Instagram ユーザー5億人突破時の公式アカウントの投稿
https://www.instagram.com/p/BG6wmjxRi7S/?hl=ja

Snapchat 公式サイト Advertising on Snapchat
https://www.snapchat.com/ads

2016年に搭載されたのは、新機能「Instagram ストーリー」です。Instagramで写真や動画をストーリーとして投稿すると、24時間が過ぎた後に自動的に消去されます。また、ストーリーへの投稿には、手書きで絵や文字を書き込んだり、キーボードからのテキスト入力が可能です。

Instagramで多くの反応を得るため、多くのフォロワー獲得するためには高品質なビジュアル投稿が欠かせない、というのが定説です。しかし、今回追加されたストーリーの機能を見る限り、ありふれた日常やたまたま目にした面白いものなど、消えてしまってもかまわない程度の気軽な投稿をしたいという需要も確かにあるようですね。

また、ストーリーへの投稿は、原則として誰でも見ることができますが、特定の人に対して非公開にできます。また、誰が見たかを確認することもできます。これも、「気軽に投稿したい」という需要を満たすためのもの、と言えるのではないでしょうか。

Web上の情報は、通常「誰でも見ることができる」ことを前提としていますよね。ソーシャルメディア上の投稿であっても、これは同じです。自分で設定しない限り、原則として投稿はフォローフォロワーの関係にない人でも見ることができます。

しかし、本当に誰に見られても問題ないだろうか？と常に自問自答しながら投稿したり、ちょっとこれは公開しないほうがよかったかな、という投稿を誰に見られたかわからない、とような状態は不安ですよね。Instagramストーリーでは、こうした面倒ごとや不安をある程度取り除き、気軽に投稿することができそうです。

投稿を誰でも見ることができる、という点はメリットにもなりますが、反応を気にせず気軽に投稿したい、という人にとってはデメリットになるケースもあります。Twitterでは、スーパーのアイスケースに入るなどの問題行為を写真撮影して投稿し、多くの人からの批判が集中するなどの炎上騒動がたくさん発生してきました。

後ろ暗いところがなくても、問題のある投稿が多くの人に批判される中で投稿者の個人情報が流出してしまったり、メディアで炎上事件として報道されたりというように大規模な問題となるのを見て、怖いと思ったことがありませんか。

また、ソーシャルメディアのユーザーの中には、炎上してしまうことを怖いと思いながらも、自分の投稿がどのように誰に見られるか、どのようなことを投稿してはいけないのかがよくわからないし、投稿するたびに考えるのも面倒だと思っている人も多いのではないでしょうか。

そうした不安や、投稿が蓄積されるタイプのソーシャルメディアにある「投稿の際のハードル」が、一定時間経過後に投稿が削除されるSnapchatが支持される理由のひとつであり、今回Instagramに同様の機能が搭載された理由でもある、と言えそうです。

Instagramに「気軽な投稿」を後押しする機能が搭載された背景には「（自分が）気軽に投稿したい」という需要に加えて「フォローしている人たちの気軽な投稿を見たい」という需要もあったことが想定されます。

ソーシャルメディアは、ユーザー同士の距離感が近いコミュニケーションツールです。何気ない日常なども含め、情報発信者の人となりがわかる投稿を、リアルタイムに見ることができるのも魅力のひとつです。

企業アカウントにはさまざまな制限がありますが、ソーシャルメディアを運用においては、商品やサービスに関わる情報だけでなく、自分たちのことを知ってもらえる（消えてしまってもかまわないような）気軽な投稿にも工夫を凝らすことが重要だと言えるでしょう。

また、このようなソーシャルメディア活用を通して、これからの自社の顧客・ユーザーとなり得る若年層との接点となるコンテンツの作り方など、マーケティングのヒントを探すこともできるのではないでしょうか。

Facebookをやめました、と連絡を受けたことはありませんか。日本で絶大な人気を誇っているTwitterも、業績の伸び悩みを取り上げる記事が多く報道されています。

どれだけ流行し、多くの人が愛好したサービスやソーシャルメディアも、流行によって変化していきます。ユーザー数の増加や注目度の高まりによって投稿を見てもらえる可能性が増えるというメリットがある一方で、良くも悪くも目立つ投稿をしないと注目を集められないとか、逆に注目が集まり過ぎて息苦しいなどの問題も起こってきます。そしてこのような変化に伴い、新しいサービスやソーシャルメディアが登場し、有効な情報発信の形式やツールも異なってきます。

という訳で、現在自社のマーケティングではソーシャルメディアを活用していない、もしくは自分は担当者ではないという場合も、今起こっている変化や新しいサービスを知っておくことが無駄になるわけではありません。一見して若年層向けのソーシャルメディアと自社には縁がない、と思われる場合でも、可能な限り一度は実際に使ってみて、機能や特徴について知っておきましょう。