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失敗しない、騙されない!オンライン広告を始める前に知っておきたい基礎知識

2016年9月、電通が自社のデジタル広告サービスにおける"不適切業務"について情報を公開した。これをふまえ、オンライン広告を始める前に、最低限知っておきたいポイントをまとめた。

"デジタル広告サービスにおける不適切業務"とは?

2016年9月、電通が、デジタル広告サービスにおける不適切業務があったとしてニュースリリースを出しました。不適切業務と言葉からはイメージしにくい部分がありますが「わざともしくはミスにより、広告配信状況や成果にウソをつき、過剰な請求をしてしまっていた」という報告です。過剰となった請求の額は、2012年の問題発生から約2億3千万円!どのようにしてこんな大問題が発生してしまったのか、多くの人が関心を持ったと思います。

(参考)日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1402405

しかし、インターネット広告の運用業務にあたったことがない人にとっては、何がどうなったのか、なぜそんな大きな問題が発覚しなかったのかなど、不明な部分が多いように思われます。というわけで、ここではオンライン広告運営サービスにおいてどのように不正が発生し得るのか?という点と、広告運用サービスの利用にあたりどのような注意が必要か、という点についてまとめてみました。
 
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デジタル広告の運用とは?

今回、不正があったとされるのは「運用型をはじめとする広告主向けのデジタル広告サービス」です。まずこの「広告の運用」というのが、そもそもピンと来ない、という人も少なくなさそうです。まずはデジタル広告の特徴や「デジタル広告の運用とは何か?」という点から整理していきましょう。

デジタル広告には、大きな2つの特徴があります。まず1つめは、支払いの発生方法。紙面などの従来からある広告の場合、広告が入った紙面が読者に渡れば、まず確実に支払いが発生しますよね。しかし、Web広告の場合はそうとは限りません。「広告が画面に写った」という事実でなく、広告が実際にあげた成果=クリックされた回数に応じて支払いが発生します。この点がそのまま、無駄な支払いが発生しない・成果が明確に把握できるというデジタル広告を利用するメリットです。

2つめの特徴は「広告配信がオークションになっている」という点です。運用型のオンライン広告には「いくら払えば広告配信できます」という絶対的な条件は存在しません。表示される広告は、広告枠と広告の一致具合や、広告主側で申告する「クリックされた際に払う報酬」などによって自動的に比較・検討された結果、もっとも条件の良いものに決まります。

たとえばGoogleAdWordsの場合、検索結果ページの一部や、Googleパートナーサイト(GoogleAdSenseによる広告枠を設けているサイト)が広告枠になります。

広告主は、どのようなキーワードで検索の検索結果・どのようなテーマのサイトにに広告を表示したいかや、どのような広告を配信するか、その広告がクリックされた際にいくら払うかという3点を決めてオークションに申し込んでおきます。ユーザーが検索を行なった時や、Google AdSenseの広告枠が貼られたサイトが閲覧された時、一瞬にしてオークションが開催され、一番条件の良い広告が枠を勝ち取り、表示されるという訳ですね。

(参考)Google AdWordsヘルプ
オンライン マーケティングでの AdWords を利用する
https://support.google.com/adwords/answer/6227565?hl=ja&ref_topic=6231194

このように、デジタル広告が配信されるかどうかは相対的なものです。その他の広告主との兼ね合いによって決まります。より検索にマッチした広告、成果が発生した時の支払い価格(入札価格)が高い広告があれば、自分たちの広告は配信されません。

このことから、広告主側では、広告配信のオークションに申し込んでおくだけでなく、自分の広告が実際にどのくらい表示されているのか、そしてその成果は?という点に常に気を配り、広告内容や入札価格を検討し続けることが必要となります。長くなりましたが、この部分が、広告運用と呼ばれる仕事です。

広告主に代わり、広告オークションに参加したり、状況を見て広告や入札価格を調整する運用業務を受託する場合、配信状況の報告や請求に関して(仕事の進め方によっては)不正が発生してしまう可能性があることは、ご理解をいただけたのではないでしょうか。
 

不正を発生させないために必要なこと

今回、電通で発生したと報告された広告運用に関する不適切業務の詳細は、以下の通りです。

・広告掲載期間のずれ、未掲出
・運用状況や実績に関する虚偽の報告
・実態とは異なる請求(過剰な請求)

上記の通り、広告が配信されるかどうかは広告枠ごとに実施されるオークションによって決定される流動的なものです。運営業務を受託し、事前に広告掲載期間や予算について計画を提出していたとしても、狂いなく運用をやり遂げることは至難の業です。虚偽の報告はもちろん許されないことですが、制度や状況についての詳細説明が難しいなど、正確な報告がなされない状況に陥りやすい、という側面は確かにあるでしょう。

不正を発生させないためには、配信状況や成果についてこまめに報告・確認し、運営を請け負う業者・広告主双方でコミュニケーションを取ることが必要です。そしてこの点は、オンライン広告の利用によってより大きな成果を上げるために重要なポイントでもあります。広告枠が発生した際に自動的にオークションが実施され、適切な広告が配信されるというオンライン広告の仕組みは素晴らしいものですが、これにより人間がラクをできる、という流れにならないのがなかなか難しいところですね。
※Google AdWordsヘルプでは、最低一週間に一度はアカウントにログインし、掲載状況と成果を確認しましょうとおすすめされています。

なお、この「なかなかラクができない」という点は、オンライン広告に限ったことではないでしょう。近年、マーケティングオートメーションやサイト上のFAQに設置されたチャットボットなど、人間に代わり多くの業務を自動的に行なってくれるツール、大きな成果を得られる自動化ツールがいろいろ登場しています。しかしながら、こうしたツールの実用化にあたっては、結局のところ人の手による細かな設定や運用しながらの微調整が欠かせません。

広告配信においても、時間が取れないから運用を専門家に発注する、という選択肢はもちろんありますが、今回の件であらためて「不正を防ぐための透明化」「今何をやっているのか?」を広告主側でも把握することが必要、ということが明らかになったと言えるでしょう。

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